苦痛の少ない内視鏡検査

内視鏡検査には「怖い」「しんどそう」というイメージを強くもたれて、病気の早期発見が遅れることも。医療は日々進歩し、患者さんが安心して検査が受けられるよう日々努力しています。
そこで、当院の副院長で消化器内科医の尾立磨琴先生に話を伺いました。


胃腸はストレスに弱い

 胃もたれや下痢などの不調があっても、検査で異常が見つからない場合があります。そうした症状を総称して「機能性消化管障害」といいます。その代表が、腹痛や下痢、便秘などを繰り返す「過敏性腸症候群」です。また、胃の機能低下による不快な症状を「機能性ディスペプシア」といいます。「異常なし」と診断された途端に治る人もいますが、症状が何ヶ月も続く人は少なくありません。その一因として考えられるのがストレスです。精神的ストレスを感じると自律神経のバランスが乱れたり、脳からストレスホルモンが分泌されたり、脳内の痛みに関わる箇所が過敏になったりします。それにより、消化管にさまざまなトラブルが出てきます。

内視鏡検査を怖がる患者さんは多い

 消化管内視鏡検査を受けるにあたって「苦しい」「痛い」など不安がいっぱいの方が多いでしょう。しかし恐れるあまり内視鏡検査を受けず、発見が遅れてしまい取り返しのつかないことになった事例もあります。当科では、内視鏡検査・内視鏡治療の熟練消化器内科医師を揃えており、かつ、患者さんの体型や手術歴の有無に合わせて様々なサイズの内視鏡を用意することで、常に一人一人に寄り添うオーダーメイドの検査を心掛けています。

患者さんに優しい検査を心掛けています


 最近では、胃腸の症状を訴える女性患者さんが増えています。女性患者さんの希望に応じて、当科では女性消化器内科医による内視鏡検査の対応が可能です。
 胃カメラに関しては、鉛筆の太さほどで鼻から挿入する経鼻内視鏡を導入し、辛い「えづき」がほとんど無い検査も可能です。また希望に応じて鎮静剤(不安を軽減する薬)の点滴を使用し、リラックスした状態で内視鏡検査を受けていただけます。

特に大腸カメラを恥ずかしがる人は多い

 現在、がん罹患数(がんと診断された数)の第1位が大腸がん、がん死亡数(がんで亡くなる人)の第2位が大腸がんです。特に女性の場合、がん死亡数の第1位が大腸がんです。(2021年国立研究開発法人 国立がん研究センターがん対策情報センター調べ)
 大腸がんが見つかる年齢は年々下がっており、若年者や中年の女性の大腸がんも増えています。お腹に何らかの症状がある方や住民健診での便潜血検査で陽性となった場合は、大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。それでも内視鏡はちょっと・・・という場合は、大腸カプセル内視鏡検査という選択肢があります。カプセル内視鏡検査というのは、超小型カメラを内蔵した長さ約32㎜×幅約12㎜のカプセルを口から飲み込む内視鏡検査です。カプセルは消化管を通過しながら画像を撮像し、画像を記録装置に転送します。医師は画像をもとに大腸の診断を行います。大腸カプセル内視鏡検査は、大腸内視鏡検査が施行困難で過去に全大腸の検査が受けられなかった方などが対象で保険適用になります。ただし、大腸がん検診などで検査を行う場合、保険適用外となります。

がんの死亡数と罹患数(他部位がんとの比較)

がん罹患数の順位(2018年)

  1位   2位     3位     4位   5位  
総数 大腸 乳房  前立腺  大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位
男性 前立腺 大腸 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位
女性 乳房 大腸 子宮 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸7位

                                2021国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター

がん死亡数の順位(2019年)

  1位 2位 3位 4位 5位  
総数 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
男性 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸9位

                              2021国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター

 

当院での取り組み

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、当院内視鏡室では飛沫感染予防対策として、患者さんを覆う飛沫感染対策内視鏡用感染防御システム(商品名:エンドバリア)を使用しておりますので、安心して内視鏡検査・内視鏡治療を受けていただけます。