真夏の夜の「悪魔の一撃」 尿管結石の疝痛発作

尿管結石の痛みは激痛で、痛みに耐えられず救急車で運ばれる患者さんも少なくありません。
実は、尿管結石は夏に注意しなくてはならない病気です。

                             院長補佐・診療部長・泌尿器科部長  菅本 隆雄

結石は再発しやすい

 働き盛りの年代の男性に多い尿管結石は、結石ができる場所によっては激しい痛みを伴います。結石ができる原因は以下のことが考えられます。

・水分摂取量が少ない
・肉類をよく食べる
・糖分や塩分の摂取量が多い
・カルシウム摂取不足
・運動不足
・ストレスが溜まっている など

 一度発症すると再発しやすく、十分な水分摂取と適切な運動や食事が予防に重要になってきます。水分摂取は身体に負担がなければ1日2ℓ以上を目安に、水を飲みましょう。アルコール、紅茶、コーヒーは控え、お茶は緑茶より番茶や麦茶などがおすすめです。疝痛発作時に大量の水分摂取や点滴は反対に痛みが増強しやすいため、水分は痛みが取れてから少しずつ飲みましょう。
 運動は筋トレよりもジャンプや縄跳びなど体幹を揺らす運動がよく、ジェットコースターで排石が促されたとの論文もあります。食事は動物性脂肪や動物性たんぱく質、塩分、糖分などを控え、ドカ食いや早食い、食後すぐ寝る習慣は結石を作りやすくします。
 再発を繰り返す場合は、結石成分の結果によって食事制限や薬剤が有効な場合があります。夏にたくさん汗をかいて体の水分量が少なくなり尿が濃くなる、これは結石はより大きく集まり結晶化しやすいからです。夏は結石のリスクが倍増します。熱中症予防のためにもしっかり水分を摂りましょう。

当院での治療法

≪体外衝撃波結石破砕術(ESWL)≫
 専用の機械で体外から結石に衝撃波を当て結石を砕く治療です。通院での治療になりますが、排石に日数がかかり、その間に痛むことがあります。大きい結石は多数の破砕片による尿管の閉塞を予防するため、尿管ステントを入れて行います。

≪経尿道的尿路結石レーザー破砕術(f-TUL)≫
 麻酔下にレーザー破砕と同時に破片を取り出します。下部尿管結石については真っ直ぐで硬い金属の硬性尿管鏡を使いますが、蛇行する尿管内や腎臓までの到達が困難な場合、柔らかい軟性尿管鏡を挿入することで腎盂・腎杯まで到達し砕石することができます。1泊入院での治療となり、効率良く短期間での治療が可能です。